ビオトープの四季

『ビオトープの四季』を発刊するにあたって

理学部 松本正勝 名誉教授

神奈川大学の湘南ひらつかキャンパスは豊かな自然に恵まれた地域にあります。キャンパスの周りの丘陵や湿地には多様な草木、昆虫、野鳥や小動物が今も息づいています。 ただ、キャンパスは周りの川からかなり高いところにあるため皆さんの親しめる水場がありません。

常に水があって太陽の光が降り注げば、自然に草木が育ち日陰もでき、枯れ葉などの養分をもとに小さな生き物が棲みつき、それを餌にするもう少し大きな生き物が棲みつくでしょう。 こうして様々な生き物の生息する空間ができあがります。そこでキャンパス建設時に復元湿地とされていた場所を整備し、小さな池を中心にしたビオトープ(biotop, biotope: 生物生息空間)を造ることになりました。 造られてから約3年しか経ちませんが、人が優しくそして少しだけ生き物たちに手を貸すことにより、ビオトープは驚くほど活気に満ちた生き物の空間になってきました。

キャンパス全体からみればビオトープは小さな空間ですが、皆さんはそこで生き物のちからを凝縮したかたちで体験することができるでしょう。 そして次にはキャンパスとその周辺に目をやり、さらにはもっと広い世界に視野を広げていかれることでしょう。このようなことから、私の眼にした素晴らしい空間をまず皆さんに少しでもお伝えできればと思います。

『ビオトープの四季』のご案内