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神奈川大学理学部理学科
神奈川大学大学院理学研究科化学領域

堀研究室希望者APPLICANT

 当研究室では、環境保全や資源循環型社会の構築に貢献できる研究をしたいという学生や研究者の入室を広く歓迎しています。
 当研究室への配属を少しでも希望する学生は研究室訪問をすることを強く勧めます。
 他大学から本学大学院へ進学を希望する方は、事前に研究室訪問を希望する旨をご連絡ください。

研究していること / できること / 卒業生の進路 / 大学院入試情報

当研究室で研究していること

 当研究室は2010年度に開設されました。産業界や私たちの生活に必要な一方で、そのまま環境に出た場合に悪い影響を与える恐れがある物質について、熱水反応光化学反応を使って無害なものまで分解し、さらに資源として再利用する環境技術の開発に取り組んでいます。熱水(亜臨界・超臨界水)と光化学反応については右のリンクをご覧ください。

有機フッ素化合物およびフッ素ポリマー

 炭素とフッ素から形成される有機フッ素化合物(フッ素ポリマーも含む)は耐熱性や耐薬品性等の優れた性質を持つため電子部品や自動車の製造等に欠かせないものですが、これらの廃棄物が問題なのです。とにかく安定で、従来の処理技術では分解できません。焼却は可能ですが、相当の高温が必要なだけでなく、生成するHFガスが焼却炉材を劣化させるという問題があります。このためフッ素ポリマーは埋立てしか処分方法がありません(写真)。また、全ての有機フッ素化合物の原料は蛍石(CaF2の鉱物)ですが、その産出は特定国に偏在し、入手難の状況となっています。

 このような有機フッ素化合物を低エネルギーコストでフッ化物イオン(F-)まで分解・無害化し、さらには再資源化する反応技術をニューヨーク州立大学、フランス・モンペリエ国立研究所(CNRS)、産業技術総合研究所、九州大学、化学メーカーや電子部品メーカーと共同で研究しています。F-まで分解すれば、Ca2+との反応で環境無害なCaF2となり、これは上述のように原料ですので再資源化も可能となります(上右図)。今までにヘテロポリ酸光触媒、ペルオキソ二硫酸(光酸化剤)、鉄粉+亜臨界水、酸素+超臨界水等の様々な分解方法を開発しました。我々が開発した反応や分析技術の一部は企業で実際に使用されています。現在はその対象をエネルギーデバイスに使用されるフッ素系イオン液体や新規フッ素ポリマーまで拡大し、さらに高効率な分解・再資源化システムを探索しています。

新規環境リスク懸念物質、希少金属、エネルギー問題への展開

 医学が進歩しても病気がなくならないように、環境問題を起こしそうな物質もなかなか無くなりません。我々は研究対象を新しい環境リスク懸念物質(過塩素酸塩や、パーソナルケア製品等に使われる環状シロキサン類等)まで広げています。さらには燃料油中にあって、環境に悪い影響を及ぼす物質(有機硫黄化合物)を、可視光応答光触媒を使って除去する方法や、水中から希少金属を回収する方法の開発といった、エネルギーや資源問題の解決に役立つ技術の開発にも取り組み始めています。これらの活動により、資源循環型の産業・社会システムの構築に少しでも貢献できればと思っています。

 より詳しい研究内容を知りたい方は『研究内容』のページをご覧ください。


当研究室でできること

 当研究室では、一人ひとり異なるテーマの研究を行っており、そのテーマは先生とのディスカッションを通じて決定されます。先輩の研究テーマを引き継ぐことが多いですが、まったく新しい研究テーマを与えられることもあります。過去の卒業研究のテーマ例は以下の通りです。

・高温高圧水を用いた新規機能性フッ素ポリマーの分解・再資源化反応の開発
・亜臨界および超臨界水を用いたフッ素系イオン液体の分解・無機化反応の開発
・ペルオキソ二硫酸イオンと超音波照射を併用した有機フッ素化合物の高効率分解
・酸化タングステンを用いたフルオロテロマー不飽和カルボン酸の可視光分解
・電解硫酸の光励起に基づく有機フッ素化合物の分解・無害化反応の開発
・金属を還元剤として用いた過塩素酸イオンの無害化反応の開発
・光化学反応を用いた水中からの希少金属の回収
・ポリオキソメタレート光触媒を用いた低質油の超深度脱硫
・新規環境リスク懸念物質(有機ケイ素化合物)の分解・無害化反応の開発

 当研究室では、個人が実験から分析までを一貫して行います。そのため、「実験だけ」または「分析だけ」に偏らず、幅広く研究活動を経験することができます。「環境に関わるような研究をしてみたい」、「分析だけではなく手を動かして実験も行いたい」という学生に魅力的かと思います。我々の研究にはそれほど派手さはありませんが、こつこつと様々な条件のデータを取る基礎研究を行いたい人や、廃棄物を有価資源に変えることに価値を見いだせる人は向いていると思います。

 研究に必要な装置は一通り揃っており、環境は充実しています。国内に数台しかない実験装置から最新の分析機器まで様々です。研究室にある実験装置・分析装置は研究施設のページに載せてあるので興味がある人は見てください。熱水を使う研究の場合、実験装置の数が限られているので一つの装置を複数人で使います(2017年度現在)。そのため、毎日実験ができる訳ではありません。今のところ光反応装置は1人につき1台あります。また、分析で使う分析機器の数は取り組んでいる研究によって異なり、1~2つの人もいれば5~6つの人もいます。分析機器を多く使いたいという人は研究テーマを決めるディスカッションの際にそのようにアピールすると良いかもしれません。

 当研究室へ配属が決まってから卒業までのスケジュール(仮)を紹介します。
― 3年後期 ―
 化学研究法Ⅱでは、研究に関係のある英語の論文や試薬のMSDSなどを読みます。英語が苦手の人もいると思いますが、研究を行う上で海外の論文を読んだり、試薬を使ったりする機会がありますので、その練習だと思ってください。例年、11月上旬頃に新入生歓迎会を兼ねた飲み会があります。年末に、先生とのディスカッションを行い、4年生から行う研究の希望調査をします。この頃までに、自分で調べたり先輩に聞いたりして自分の行いたい研究を決めておく、またはイメージしておくと良いでしょう。年度末には4年生の卒業研究発表会のリハーサルに参加してもらい、例年そこで引き継ぐ研究の発表があります。4年生の卒業までに引き継ぎの実験を行い、4年生または院生から実験や分析の手順等を教わります。
4年前期
 いよいよ卒業研究が始まります。初めは勝手がわからず不安で失敗することがあるかもしれませんが、やればその分上達しますので、まずは回数を重ねて慣れることを心がけましょう。特に教育実習を控えている人はそれまでに実験を多く行っておくことをお勧めします。前期末(8月上旬)に研究の中間報告会を行います。あまりにデータが少ないと。。。輪講Ⅰでは研究に関係のある英語の論文を読みます。
4年後期
 輪講Ⅱでは一人ひとりが一報以上の論文をプレゼン形式で紹介します。実験をします。当研究室に配属になった3年生の歓迎会をします。年末に中間報告会を行います。卒論を仕上げます。2月中旬に卒業研究発表会のリハーサルを行います。2月15日頃に卒業研究発表会本番をむかえます。自分の研究を引き継ぐ3年生に実験や分析の手順等を教えるために引き継ぎ実験を行い、卒業式に至ります。


卒業生の進路

 これまでの卒業生の就職先は多種多様で、上場企業から地元企業、営業から生産・技術職、教職員まで様々です。平成24-令和3年度卒業生(大学院修了者も含む)の進路は以下の通りです。就職希望者は氷河期の時期も含めて全員就職できており、卒業時に就職も進学もしなかった者はいません。なお転職が明らかになった場合は転職後の企業を記載していますが、全てを把握しているわけではありません。このリストの他に自営業もあります。

就職先(アイウエオ順)複数人入社している場合もあります。
(株)アイ・テック、アロン化成(株)、イカリ消毒(株)、(株)イチネンケミカルズ、茨城県国民健康保険団体連合会、AGCセイミケミカル(株)、(株)エス・エフ・シー、SBSリコーロジスティクス(株)、エヌエス環境(株)、(株)エー・ピーカンパニー、NECマグナスコミュニケーション(株)、(株)エフェクトプラン、(学)神奈川大学(職員)、カナセキユニオン(株)、神奈川県教員、(株)キッツ、(株)KSK、(株)建設環境研究所、興亜ガラス(株)、(株)コアテック、国際自動車(株)、コルコート(株)、札幌市教育委員会、(株)さなる(佐鳴予備校)、(国)産業技術総合研究所、(株)サンドラッグ、三友プラントサービス(株)、三和油化工業(株)、J&T環境(株)、(株)ジェイペック、静岡県教員、(株)シモン、(株)シャンソン化粧品、習和産業(株)、(株)セブン‐イレブン・ジャパン、占冠村役場、大三紙業(株)、タカナシ乳業(株)、(学)拓殖大学(教員)、(株)タツノ、(株)ダスキン、中外鉱業(株)、東京ガスケミカル(株)、東京電力ホールディングス(株)、東京美装興業(株)、東ソー・テクノシステム(株)、栃木県市町村職員共済組合、日清紡ホールディングス(株)、 日本システムウェア(株)、 日本重化学工業(株)、日本ビジネスシステムズ(株)、(株)ノジマ、(株)八十二銀行、パレス化学(株)、(株)ビーシーデポコーポレーション、(株)日立産業制御ソリューションズ、(株)日立社会情報サービス、人の森(株)、(株)ファーストリテイリング、(株)フジクス、不二サッシ(株)、(株)不二産業、フジパングループ本社(株)、(株)マルテ小林商店、三木証券(株)、ミサワホーム(株)、(株)武蔵野フーズ、(株)ヤマソウ、ヤマト科学(株)

神奈川大学大学院(博士前期課程)進学 計20名


大学院入試情報

当研究室では学内外問わず大学院生を募集しております。

 他大学から当研究室への進学を希望される方は、h-hori[a]kanagawa-u.ac.jpにご連絡の上、ぜひ研究室訪問をされてから出願することをお勧めします。
 本学大学院入試試験募集要項および過去問題集はこちらからご請求いただけます。
 詳しくは本学大学院入試のご案内や本学理学研究科ホームページをご覧ください。

★口述試験のアドバイス★
 口述試験では本学大学院・当研究室への志望動機やこれまで行ってきた研究の内容、大学院進学後の研究予定、大学終了後の進路などについて述べられるように準備するとよいでしょう。

★本学理学部化学科の授業における使用書★
【有機化学】
ボルハルトら著、古賀憲司ら訳『ボルハルト・ショアー現代有機化学第6版 上・下』、化学同人、2011
D.R.クラインら著、竹内敬人ら訳『困ったときの有機化学』、化学同人、2009
【無機化学】
合原真ら著『現代の無機化学』、三共出版、1991
【物理化学】
原公彦ら著『ベーシック物理化学』、化学同人、2008
※ 詳しくは理学部化学科のシラバスをご覧ください。


バナースペース

堀 久男研究室

〒221-8686
神奈川県横浜市神奈川区六角橋3-27-1
神奈川大学横浜キャンパス

TEL 045-481-5661(代表)
Mail h-hori[a]kanagawa-u.ac.jp