私たちの研究テーマは,有機合成を起点とした新物質開発です。

有機合成化学の力量を駆使して、これまで世の中になかった新しい物質の創製に取り組んでいます。

特に、高効率高安定性フルカラー発光分子や、電気をよく通す有機物の開発に興味をもち、優れた機能を示すことが期待される新しい分子構造の設計と、それらを実際に作るための反応開発を研究しています。
また、国内外の様々な分野の研究者との共同研究も積極的に推進しており、研究のための国内留学や海外留学の機会も設けています。

これまでの研究成果は、発表論文のページを参照して下さい。


研究のハイライト

"Coherent Resonant Tunneling Electron Transport at 9 K and 300 K through a 4.5 nm Long, Rigid, Planar Organic Molecular Wire"
ACS Omega 2018年(東工大・真島教授らとの共同研究)

剛直平面構造をもつCOPVと名付けた独自開発分子(a)は、分子中を電子が流れるのに理想的な構造をもっています。実際に、どのように・どれぐらい流れるかを研究するため、金ナノギャップ電極(b)を使った測定を行いました。解析の結果、分子と電極の接合が何種類かあり(c)、SAuSH型のものでは共鳴トンネルという機構によって電流が流れていることがわかりました。9Kという極低温での観測に加え、300Kという室温付近でもこの現象が観測されました。分子ワイヤで4.5 nmという長距離共鳴トンネルが室温で観測されたのは世界初です。1個の分子で電流のON/OFFができる分子トランジスタなどへの応用が見込まれます。→論文を見る

関連リンク:神奈川大学プレスリリース


"Carbon-bridged oligo(p-phenylenevinylene)s for photostable and broadly tunable, solution-processable thin film organic laser"
Nature Communications 2015年(スペイン Diaz-Garcia教授らとの共同研究)

COPV(炭素架橋オリゴフェニレンビニレン)と名付けた独自開発の分子は、高い発光効率と安定性を持ちます。分子の長さに応じて、青色から橙色まで発光色を変えることも可能です。これらの性質を利用して、有機固体レーザーの発光材料へと応用したところ、レーザーの高効率化・長寿命化に成功しました。特に、橙色発光を示すCOPV6という材料を用いた場合には、低い閾値、高い利得係数、空気中での長寿命を実現し、既存の有機色素を凌駕する高いトータル性能を達成しました。→ 論文を見る

関連リンクJSTプレスリリース


"Electron Transfer through Rigid Organic Molecular Wires Enhanced by Electronic and Electron-vibration Coupling"
Nature Chemistry 2014年(ドイツ Guidi教授らとの共同研究)

COPV分子(図中の黄色い部分)を介した電子移動速度を測定したところ、既存のフェニレンビニレン分子に比べて840倍程度も速くなることを発見しました。高速化の要因としては、COPVの剛直な平面構造に由来して、電子供与体(電子を提供する物質)と電子受容体(電子を受け取る物質)間の電子的な相互作用(電子的カップリング)が増大したことと、非弾性トンネリングと呼ばれる非線形効果が関与していることを示唆する結果を得ました。→ 論文を見る

関連リンクJSTプレスリリース
解説記事News & Views (by. J. R. Miller, Nature Chem. 2014, 6 (10), 854–855.),Chemistryworld (RSC).


参画中のプロジェクト

科学研究費補助金 新学術領域研究「水圏機能材料:環境に調和・応答するマテリアル構築学の創成」(2019-23年度)、計画班

終了したプロジェクト

科学研究費補助金 新学術領域研究「π造形科学」(2015-18年度)、公募班
日本化学会新領域研究グループ「有機化学を起点とするものづくり戦略」(2011-18年)、メンバー
JSTさきがけ「新物質科学と元素戦略」(2011-2015年度)、研究者
科学研究費補助金 新学術領域研究「高次π空間の創発と機能開発」(2009-2012年度)、公募班